南米日記

大学3年生でのペルー留学記

メキシコの村で結婚式

  ドン・ナッチョはメキシコ、Oaxaca州のSan Dionisioという村でmezcal(蒸留酒の一種)を生産しているzapoteco族のおじさん。息子が結婚するということで、結婚式に招待してくれた。

 

  結婚式本番は土曜日。その準備は何日も前から始まる。

 

 木曜日

  食材の下準備。結婚のfiestaは、金曜日から日曜日の夜にかけて3日間続く。その間、500人以上の親戚やら友人が家を訪れ、そこで振舞われる料理はすべて手作り。どの料理にも大量のニンニクが使われるため、この日は朝から晩まで一日中、ニンニクの皮を剥くことになった。

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Oaxaca料理に忘れてはならないtortilla作りも、とうもろこしを挽くところからすべて手作業。このtortillaが規格外に大きくて驚いた。

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      準備のために集まった村中の親戚。ご飯は、みんなで机を囲んでしっかり3食たべる。彼らにとって食べることは欠かせない。朝から晩まで、料理→食べる→食器洗い、のサイクルが繰り返されて、その間、結婚式のための料理の下準備も進んでいく。

 朝ごはんの定番は、チョコラテとパン。時間によっては朝ごはんと昼ごはんが一緒に出てくることもあってびっくり。

 

                                            それにしても大きいお家

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 金曜日 

  早朝、結婚式で食べるための動物を絞めるところから一日が始まる。たくさんの人をまかなわないといけないため、牛が3頭、鶏は60羽ほど絞められた。屠殺するところから、皮剥ぎ、肉の切り分けまですべて手作業。村の男の人達がその作業に撤する。この日の朝ご飯は、新鮮な牛の血で作るスープ。アトレというトウモロコシから作った飲み物と一緒に食べた。

  午後は、結婚式のfiestaの会場の飾りつけのお手伝い。かなり大掛かりな飾りつけとなった。カラフルなデコレーションがメキシコらしい。山に行って花や木の枝を集めてきて、それも飾りつけに使われた。自然と生活が一体化していることがすごく感じられる準備となった。

       日も暮れてきてお腹もすいてきたころ、朝の牛で作ったbarbacoa(肉を焼いてほぐしたもの)のタコス(これがまた大きい)をお母さんたちが持ってきてくれた。「どんなに忙しくても食べることを忘れたらだめだよ」と注意された。これが夕飯かと思いきや、家に帰ったら、同じbarbacoaで作ったスープを食べることに。これもまた美味しかった。

 この日は夜遅くまで、会場、そして家の飾りつけが続いた。

 

 土曜日 ―結婚式本番―

  朝からたくさんの人が家に集まった。訪れた人すべてに朝ごはんのチョコラテとパンを運ぶので大忙し。Desayuno(朝ごはん)が終わったと思ったら、次はalmuerzo(昼頃に食べるご飯のこと)を運ぶことに。Oaxacaで有名なmole(様々な香辛料が効いたチョコレートをチキンにかけて食べる)が振舞われた。招待客は途切れることなく到着してくるため、料理を運ぶ作業は永遠と続く。

 

                                                         大量のmole

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Almuerzoがひと段落すると、banda(楽団)を先頭に、みんなで村の教会へと向かう。お嫁さんは定番の白いドレスを身にまとう。そこでmisaが行われる。

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  教会の後は、みんなでfiestaの会場へ移動。今度は、comida(午後に食べるご飯)で牛肉や鶏肉のタコスのようなものが振舞われた。大量のcervezaとmezcalも投入され、ほろ酔いのおじさんたちもちらほら。凄まじい量の料理の配膳、食器洗いはすべて親戚のお母さんたちがこなしていく。

 

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  ご飯がひと段落すると、baile(踊り)が始まる。Bandaの演奏に合わせて、San Dionisio伝統の踊り(葉っぱを持って踊る)や、お嫁さんの村の踊り(パイナップルをもって踊る)をみんなで踊った。おじさんたちは、mezcalやcervezaをみんなについで回る。自分も飲みながら回っているから、どんどんborracho度は増していく。この日のfiestaは明け方まで続いた。Bandaを引き連れて、fiestaは家でも続いていた。

 

  日曜日―結婚式2日目―

  この日は、新郎新婦が法的な書類にサインをする。村の役所の人(あまりにも普通のおじさんで、親戚かと思った)が家にやってきて、参加者の前でサインが行われた。お嫁さんは伝統的な衣装に身を包み、とても華やかで素敵だった。 

  この日もたくさんの料理が振舞われたが、いろいろ食べ過ぎてもう何が出てきたか忘れてしまった。Frijolesとquesilloがおいしかったのはよく覚えている。

夕方になると、またbaileが始まる。家の前の道路が封鎖され、そこにbandaがやってきて、参加者は一晩中踊る。女の人は良く働くが、おじさんたちは酔っぱらってヘロヘロになっていた。

 

 

  翌日、月曜日には片づけのために親戚の人達がまた集まってきた。この日一日かけても食器洗いは終わらない。総勢1000人以上の参加者だったようだ。片づけの間も、マリアッチの演奏は続き、フィエスタはまだ続いている。

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  日本の結婚式はどうなの?どんな料理を食べるの?と聞かれたときに、ぱっとイメージがわかなかった。日本の伝統的な結婚式ってどんなだっけ、と逆に考えさせられることになった。

 

  “メキシコ”と一言でいっても、住んでいる場所、住んでいる人によってその生活は様々だ。スペイン人の植民時代を経ても、未だに自身の言語、伝統文化を大切にしているSan Dionisioの人達はその生活に誇りを持っている。そんな彼らを見ていて、私自身、もっと自分の文化や伝統、言語を大切にしていかないとな、と思った。

 

f:id:oshidamari:20170803121507j:plain       お母さんたちの努力の結晶